トランスフォーマー キスぷれ
2005年のユニクロン戦争時、地球で起こったとある事件により、人類はトランスフォーマー全体を敵視、対トランスフォーマー組織として結成された地球防衛軍・「E.D.C」によって、地球から全トランスフォーマーを一掃した。これによって、20年来続いた地球人類とサイバトロンの蜜月は終焉を迎えた。
そして2006年。地球に突如現れた謎のトランスフォーマー「レギオン」。E.D.Cは人造トランスフォーマー「オートルーパー」と、彼らにキスによって力を与えられる特殊能力を持つ少女「キス・プレイヤー」を投入しこれに対抗、人類とトランスフォーマーの戦いが始まった。
その戦場に、突如現れた赤いトランスフォーマー。それは死亡したはずのサイバトロン総司令官、コンボイであった…。
ストーリーとしては『トランスフォーマー ザ・ムービー』や『バイナルテック』の続編に相当する。完結後は『2010』の展開へと繋がるような描写が用意されている(バイナルテックはその後の展開から本来の歴史とは異なる別のパラレルワールドへ枝分かれしている)。
さらに同商品パッケージの説明によれば、キスぷれは従来のほとんどのトランスフォーマーシリーズと何らかの繋がりがあることが判明している。ラジオドラマ版39話以降(第二部)の展開は、『キスぷれ』の主要キャラ達がそれぞれ独自の展開も含んだ旧シリーズ作品の各年代にタイムトラベルする物語になっている。
ウルトラマンメビウスや『∀ガンダム』の黒歴史の設定を髣髴とさせる、旧シリーズを包括する内容となっている。
商品展開及び概略
「バイナルテック・アスタリスク」と同じくトランスフォーマーと女性フィギュアのセット商品。フィギュアのデザインと原型は大嶋優木が担当。タカラトミー監修のもと、大嶋優木は本シリーズの設定やストーリーの原案、商品パッケージのイラストやコミック執筆など、ほぼ全ての製作に携わる。「トランスフォーマー」と「萌え」の融合という企画案は、タカラトミー発の物であり、依頼を受けた大嶋優木自身も当初困惑したと語っている。
このシリーズでは、トランスフォーマーはキス・プレイヤーと呼ばれるパートナーの女性キャラとキスする事によって融合し、新たな能力を得る事が出来るという設定。玩具にダイキャストは用いられていないが、海外版と比べて大幅に彩色部分が増加している。各商品にドラマCD付き。
玩具の販売に先んじて、萌えドルりりあんがメインパーソナリティを務めるラジオ番組「りりあん 萌えっちゃお」内でTF史上初のラジオドラマがスタートした。さらに同番組の終了後は、トランスフォーマーをメインに据えた初のラジオ番組「トランスフォーマー キスぷれ TF情報局」がスタート、ラジオドラマは同番組内で引き続き継続放送された。また、月刊コミック電撃大王誌にて大嶋優木によるコミック版の短期集中連載(全3話)、電撃ホビーマガジン誌においても関連企画『トランスフォーマー情報管理局テレトラン15GO!GO!(いちごごー!ごー!)』が連載された。これら玩具付属CD収録のドラマ、ラジオドラマ、コミックは全て一本軸のストーリーを時間軸をバラバラにして展開し、それぞれが内容を補完し合うという手法が採られている為、その全体像を捉えることがやや難しくなっている。
2006年8月25日に秋葉原にて「りりあん 萌えっちゃお」の公開録音が行われ、会場でラジオドラマが収録された。
2007年3月18日に東京トイフェスティバル内で「トランスフォーマー キスぷれTF情報局」の公開録音が催され、この日の為に制作された「キスぷれ紙芝居」や、声優による生歌ライブが披露された。
2007年3月26日放送のラジオ番組「トランスフォーマー キスぷれTF情報局」内のドラマ最終回をもって、キスぷれの物語は終結を迎えることとなった。
2007年夏にコミケやワンダーフェスティバル等の各種ホビーイベントにおいて、メディアワークスより「キスぷれ・15GO!GO!」特別冊子が限定販売された。本書には上記の電撃各誌のコミック版の再録や、本編中では語られなかった裏設定や初期イラスト、時系列にそったエピソード解説などが収録されている。
ストーリー展開 (第一部)
「キスぷれ」シリーズはラジオドラマ展開や2006年12月発売の「オートルーパー×あたり」付属のCDドラマ「キスぷれ 完結編」にて一度完結し、その後は新商品を迎え新展開に入っている。2007年3月発売の「スパークボット3個入り」パッケージ解説によると便宜上「第一部・第二部」の呼び方で区別されている為、ここでもそれに倣う事とする。
1985年頃、地球で活動を始めた異星の金属生命体トランスフォーマー。長きに渡る彼らの戦争は人類に大きな影響を及ぼしていた。
2005年のユニクロン戦争において東京を壊滅に追いやったある事件をきっかけに人類はTFを敵視、ここに共存の道は絶たれた。
2006年E.D.C.は対TF兵器の切り札として人造TF「オートルーパー」を量産、原因不明の突然変異で特殊能力を得た少女達を招集し「キスプレイヤー」として育成した。さらにTFの生命活動を害する物質「アンチ・エレクトロン・フィールド」を地表に展開してTFへの総攻撃を開始、ついに地上の全TFの排除に成功した。
地上は平静を取り戻したかにみえたが、突如未知のTF「レギオン」の群れが出現。それに対抗する為E.D.C.東京はさらにキスプレイヤーを招集し「オートルーパー隊」を結成した。
そして…レギオンに両親を奪われた少女「人隣当梨(ひととなり・あたり)」と、たった一人の親友をコンボイに奪われた少女「李蛸焼(リ・シャオシャオ」、そして父代わりのTFコンボイを奪われたメリッサ。3人の少女達の運命が交錯する…。
人類とトランスフォーマー対立の直接的きっかけとなった”ある事件”とは、2005年のユニクロン戦争における東京壊滅であると語られるのだが、実はその原因となったのはロディマスが投棄したガルバトロンだった。ガルバトロンが地球に墜落し、東京は壊滅的ダメージを受けたのだ。
墜落したガルバトロンの破片は地球中に拡散し増殖を繰り返し、無機物に寄生し「レギオン」へと変態、「有機物・人間」へ寄生したものが「キスプレイヤー」となったのだ。 劇中その増殖・再生能力を持つ細胞を取り込む事で「パラサイテック体」となって蘇生したコンボイやロディマスは、次第にその力に飲み込まれ破壊衝動に取り付かれていった。
「ザ・ムービー」と「2010」とのミッシングリンクである本作では、実は劇中で起こる事件・現象のほぼ全てにユニクロンの意志が介在している事が後に明かされる。「第一部」ではその存在は隠されていたが、「第二部」において全ての謎が解かれバラバラに展開していた事件が一点に集約する結末を見せた。
「キスでパワーアップ」「キス・プレイヤーを大きくあしらったパッケージ」と、「萌え」を前面に押し出した展開のインパクトに隠れがちだが、ストーリーはかなり陰鬱で、人類とトランスフォーマーの関わりが描かれるシリーズでは例を見ない、人類とサイバトロンの友好関係の瓦解というディストピア的世界観を持つことも特徴的である。
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本来「トランスフォーマー」では人間の直接的な死が描かれる事は稀だが、本作品では人間同士の争いで命を落とし横たわるE.D.C女性隊員の遺体や、人体実験でトランスフォーマーに喰いちぎられる少女などといった残酷描写が時折織り込まれている。ときに鬱展開とも評され、それは「萌え」的な要素とも併せて、従来シリーズからの作風の違いに異を唱えるトランスフォーマーファンも少なくなかった。
一方で、大嶋優木自身がかねてからディープなトランスフォーマーファンであることから、過去の作品からの設定引用は国内外の展開を問わず非常にマニアックなものが多い点も大きな特徴である。いずれにせよ本作はヴィジュアルイメージとは裏腹に「ハードな内容」の作品となっている。これらは、他のトランスフォーマーシリーズとは異なり、主な対象として幼年層を想定していない(玩具の対象年齢は15歳以上となっている)事が大きいようである。